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会員サロン

こだわり住宅賞

平成20年度 「建築士の日」の事業 第10回「こだわり住宅賞」

≪滋賀県知事賞≫栗原千代乃 邸

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湖西のマキノ町で、築80年余りを経過し、現在まで先祖の残した貴重な遺産を大切に受け継いできた茅葺の古民家である。
現在は母親一人の住まいであるが、近年老朽化が進み、耐震性能の不足と建築設備の不備も多く、今後の維持管理等について多くの問題点を抱えている。
我が家の今後について母親と息子夫婦で何回も論議を重ねられたが、母親は多少不便であっても長年住みなれた住まいへの愛着と先祖への想い出の残る建物の保存、息子夫婦は年々よわい齢を重ねる母親への思いやりから、現代設備の整った住まいの場の提供、両者の異なった意見が交錯し、結論が見い出せなかった。
しかし、試行錯誤の末、結論が出て、現地で「先祖の想い出を各所に再現し、コンパクトで快適な現代生活を営むことのできる住空間の創造」というコンセプトで改築を決定した。
現在は母親の一人住まいであるが、将来は息子達ファミリーが先祖の想い出の場所で、家・屋敷共に大切に受継ぐことのできる生活の場として、心ひかれるこだわりの住まいづくりとして計画された。
全体のイメージはあくまでも古い住まいをベースとして現代風のデザインでまとめあげている点は評価が高かった。
外部意匠も古民家の伝統様式を大切にしながら、木造平屋建切妻造で日本瓦葺とし、往時の古民家の面影が十分偲ばれる。
また、解体材の中から大黒柱・小黒柱の欅は玄関の上り框・床框に再利用し、リビングのテーブルや椅子に利用し、一段と昔を偲ばせる。構造材の地松の丸太は各部屋の化粧梁とし、古いスス竹と共に見事に甦っている。
先人からの大切な贈り物を如何に守り育て、その上に現代をどう唱いあげるかがこれからの滋賀の住まいづくりの課題ではないだろうか。

審査委員長 本城 博一

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