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平成28年度 全国女性建築士連絡協議会 東京大会

掲載日: 2016年07月29日(金)

2016.7.22.~7.23.

 7月22日(金)・23日(土)奈良県にて、第26回全国女性建築士連絡協議会が開催されました。テーマは、未来へつなぐ居住環境づくり ”日本の暮らし 豊かな生活文化の再発見” です。参加者は364名、滋賀県からは5名の参加でした。

 1日目は、奈良女子大学佐保会館(国の登録有形文化財)での全国女性委員長会議、同講堂での協議会開催でした。

 基調講演は、岐阜大学名誉教授である渡辺光雄氏による ”日本の暮らし 豊かな生活の再発見-女性の力で「発見」から「創造」へ-” 現在の狭い二階建て住宅を「魔法瓶生活」と表現。生活空間を「微感覚」で見直すことの大切さ。和室文化の継承。特に、建具の開閉による空間の変化や、畳の感覚やモジュールの文化、縁側から庭へ広がる「独特の解放感」についてお話しされました。

 パネルディスカッションは、連合会女性委員長永井氏をコーディネーターに、性別年齢等様々な4人による闊達な議論が展開されました。和室のない家で育った若い学生さんは、和室を祖父母の家にある「おもてなしの空間、正座」ととらえ、他パネリストは和室を「くつろぎの空間、ごろごろする場」と全く違う表現をされました。また、理学療法士の方は、高齢者には畳の暮らし(和式生活)が全身運動になり、寝たきりを防止する。暮らしの中のバリアフリーが必ずしも高齢者にとって良いことではなく、床面生活の復活を唱えられました。

 被災地報告は、東日本大震災被災地(岩手県・宮城県・福島県)、鬼怒川決壊による水害の茨城県、地震発生から100日の熊本県が現況報告されました。

 2日目は、会場を奈良春日野国際フォーラム甍へ。 「防災への取り組み」「エネルギーと暮らし」「歴史的建造物と建物再生」「環境共生住宅~住み継ぐ~」「景観まちづくり」「子どもと住環境」「高齢社会と福祉住宅」「二地域居住の提案」の8分科会に分かれて、事例報告・討論会を行いました。各分科会代表による発表、全体総評、平成28年度全国女性建築士連絡協議会アピールと続き、最後に被災地熊本県へ募金箱が手渡されました。熊本県女性委員長の涙ぐむシーンでは、震災による傷がまだまだ癒えていないことを感じさせられました。

A分科会 「防災への取り組み」

 神奈川県建築士会防災委員会では、4年前より「つどう・つくる・つながる・ひろがる」をモットーに、県下各地で防災・減災について考える、避難所シュミレーションゲーム(HUG)を開催しています。その活動報告を、東防災委員長・浦女性委員長が発表されました。参加者にわかりやすいよう、女性委員会メンバーによる実演もあり、HUG未体験の私でも飛び入り参加できそうでした。他にもDIG(災害を想定するゲーム)や、クロスロード(災害時の対応をシュミレーションするゲーム)についても発表され、日常から防災意識を持つことの大切さを伝えられました。建築士は応急危険度判定等で訓練を積んでいるので、行政-地域のまとめ役として活動範囲を広げようというお話でした。他には宮城県の、女性委員のいる他県と繋がって、1000人でのネット上クロスロード体験。北海道では、防災のワークショップ(ダンボールを使った応急時のトイレ製作)等、各県での防災意識の高さに感銘を受けました。比較的災害が少ない滋賀県ですが、日常の防災意識を高め、建築士として社会へ啓発運動ができるよう、個人としても建築士会としても勉強し活動することが必要だと実感いたしました。

C分科会 「歴史的建造物と建物再生」

 この分科会では「奈良ならでは・奈良だからこそ」の話が聞けるとあって、総勢71名の参加でした。歴史的町並みをつなぐと題して、奈良県橿原市今井町の重要伝統的建造物保存地区内での住宅改修事例を、住環境の改善を軸に行った具体的な事例発表でした。地域で集住して住む為の暗黙のルール、避難時には隣り合う双方の敷地から避難できる工夫など、興味深い話を聞くことができました。奈良県には歴史的建造物が多く、築100年・200年程度では「新しい建物」に区分され、特に住宅の保存改修については見落とされる傾向があったと、奈良県ならではの話が印象的でした。

 

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