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建築士会について

Doシリーズ №76 ~素を知る~「芸術の域にまで高められた匠の技から学ぶ」

2018年04月10日(火)

2018.3.17.~18.

 3月17日(土)~18日(日)、22名の参加者と共に静岡県加茂郡松崎町を訪れ、漆喰鏝絵の名人である入江長八の作品見学を中心とした一泊研修を行いました。

 研修1日目、まず立ち寄ったは、掛川市にある資生堂企業資料館と資生堂アートハウス。企業資料館では資生堂がこれまでに生み出した様々な商品や広告等を興味深く鑑賞しました。そして広大な芝生の敷地に建つアートハウスは、展示物も素晴らしいうえに建物自体の持つ美しさに見惚れてしまいました。

 次に訪れたのは、東海道の宿場町のひとつ、由比宿です。東西600mほどの小さい宿場町ですが、ガイドさんのほのぼのとした語りを聞きながら町並みを散策し、東海道広重美術館では、展示期間限定の囲碁が描かれた浮世絵作品を楽しむことができました。

 そして研修2日目、ようやく目玉となる松崎町での研修が始まりました。役場の一室をお借りして、町の職員さんや左官職人さんにより、現在町内に189棟残るなまこ壁の建造物保存の取り組みについて説明を受けました。持ち主の事情で解体せざるを得なくなった建物から漆喰で描かれた鏝絵を切り取ったり、一般参加型の鏝絵コンクールを開くなど様々な工夫をされており、伝統的建造物を保存していくことの難しさや、伝統技術を後世につなげてゆくことの大切さを再確認した思いでした。その後、町へ出て通りに面する壁一面、破風にまでなまこ壁を施された建物、また建物の一部に描かれた龍や鶴亀などの鏝絵を見て歩き、「長八記念館(浄感寺)」では、入江長八の描いた迫力ある「雲龍図」や「飛天の像」に描かれた天女の美しさに目を奪われました。また石山修武氏の設計で、全国各地から優能な技能者が集まって左官施工を行ったという「伊豆の長八美術館」では、拡大鏡を用いながら鏝絵の緻密な細工を堪能しました。江戸末期に描かれ、今もなお鮮やかな色彩を放つ作品を真直にみることができたことは大変貴重な体験となりました。

 前年度行った左官ワークショップから今回の漆喰鏝絵技術の学びへと、「素を知る」ための継続した研修を行うことができました。これからも、継続事業を展開し、それぞれのスキルアップに繋げて行ければと思います。

 

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